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ある男の人生1

ある男の人生
2013.09.3

ある男が、30万円を握りしめて福岡に出てきた。

 

夢や希望を胸に秘めていたわけではない。

 

ただ、自分の居場所を探していた。

 

男は、代々百姓の家に次男として生まれた。

 

「百姓に学歴は要らない。」

 

当時中学生だった男は、父親にそう言われ、進学することすら許されなかった。

 

来る日も来る日も、男は畑仕事に励んだ。

 

雨の日は仕事にならず、朝から晩まで酒を飲んだ。

 

「家を出よう。」

 

百姓として生まれ、百姓として死ぬという、終わりの見えている人生に物足りなさを感じた男は、そう決意する。

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